血圧と健康と利権
血圧の基準値は誰のため?
「あなた血圧が高いですよ、今すぐ病院へ!」と脅されると、本当に血圧が上がる。ま
るで健康指導そのものが副作用だ。
基準値の歴史をひも解くと、つい最近まで高血圧の診断は140/90mmHg以上だった。
それが2024年には「160/100以上なら至急受診」、2025年には一気に「診察室130/80
未満・家庭125/75未満」とハードルが下がった。気づけば、昨日まで“正常”だった人が、
今日から“患者予備軍”に早変わりである。
表向きの説明はこうだ。「脳卒中や心臓病を減らすため」。確かに研究はある。しかし
不思議なのは、基準が厳しくなるタイミングで、いつも製薬業界が潤うことだ。降圧薬
市場は国内数千億円規模。患者が増えれば売上も膨らむ。まるで“血圧ビジネス”の大
バーゲンセールだ。
ワクチン副反応の議論が十分になされないうちに基準値だけが厳格化されたのも興味深
い。副作用の数字は小さく語られ、降圧薬の処方は大きく推奨される。ここに透明性を
見出すのは、かなりの楽観主義者だろう。
「基準値の変更は科学的根拠に基づく」と繰り返されるが、その科学を誰がスポンサー
しているかを忘れてはいけない。研究費の出所はしばしば製薬会社。つまり、科学の衣
をまとった営業トークが国の政策を決める舞台に上がっているのだ。
結局のところ、基準値の変化で最も血圧が上がるのは国民自身だろう。測定器の数字に
一喜一憂し、薬漬けを恐れながらも飲まされる。利権構造を疑えば「陰謀論」と笑われ
るが、笑っているのは誰か? 高血圧よりも高収益に酔う人々ではないのか。
血圧を下げる一番の方法は──基準値をいじる人々から距離を取ることかもしれない。
